六年一組、本紛失事件
「華子の家か!」

 高蔵は言った。馬屋の言葉が利いたのか、怪訝な表情は消えていた。

「そうです、リーダー」

 馬屋は高蔵の機嫌が良くなっているのがわかった。

「ツトム!」

 高蔵が言うと、笈滝はすっと現れた。

「何でしょう?」

「押せ!」

「はい」

 笈滝は高蔵の傀儡である。

 反抗することを知らないので、言われれば行動する。例え、路上でパンツを脱げと言われても泣きながらでも実行するであろう。
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