六年一組、本紛失事件
「お前ら、隠れろ」

 と、高蔵は三人に言った。

 子吉沢と馬屋と笈滝は隣の家のドアまで離れた。

 すぐにドアは開いて、華子が出てきた。

「高蔵君、どうしたの?」

「ここに住んでいたのか……へえ、お兄さんがいるんだ」

「そうよ」

「今日きたのは、本のことなんだけど」

「もしかして、理々君の本のこと?」

「そうだよ」

「でも、あれは子吉沢君が動いているんじゃないの?」
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