六年一組、本紛失事件
「うん!」

 ドアは閉められた。高蔵は本題である本のことは聞き出さずに終わった。だが、その表情は頬をゆるませ、笑顔だった。気持悪いと間違っても言えないつらさはこの立場でないとわからないだろうが、本人の前で言えたら気持いいはずだ。

「何か、いい情報でもあったのですかリーダー?」

 馬屋は高蔵の笑顔の理由は知らなかった。

「あった」

「ってことは塙華子が犯人ですね、リーダー?」

「バカやろう!」

 高蔵は馬屋の胸倉をつかんだ。

「ひぇ~、やめてくださいリーダー」

「犯人だと! とんでもない!」
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