六年一組、本紛失事件
「すいません。犯人の有力情報を聞いたんですねリーダー」

 高蔵は胸倉をつかむのをやめた。

「そうだ。で、次は?」

 高蔵に誰も突っこめないので、言われた通りに行動するしかないのだ。

「はい、九階です」

 エレベーターには乗らず、階段で九階まで下りた。

「何だよ、信田の家って、塙さんの家の真下かよ!」

 高蔵は壁を蹴った。誰も高蔵が華子に好意があるとは知らないので、なぜ壁を蹴ったかは、イライラしているからだと、思ったのだ。

「それじゃ、押します」

 馬屋は高蔵の機嫌が悪くなるのを懸念して、チャイムを押した。
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