六年一組、本紛失事件
 すぐに信田は出てきた。ドアは半開きで、馬屋しか見えない状態だった。

「何、馬屋君?」

 信田はあっさりと言った。

「あのさ……」

「今、ミュージックを聴いていたところなんだよ」

「へえ、ミュージック?」

 馬屋は理解できないらしく、口を半開き状態だった。

「音楽を聴いていたんだよ」

「ああ!」

 馬屋は手を叩いた。

「好きなアイドルの歌はやっぱりジャケットがほしいからさ、ダウンロードじゃなく。CDをだね」
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