六年一組、本紛失事件
「こんど貸してよ」

「本当に? まさか、馬屋君はアイドルの曲が好きなの? うれしいな、クラスにファンが増えると、これからアイドルの話ができるなんて夢みたいだ」

 高蔵は横からドアを開けた。

「信田!」

 高蔵の顔は鬼のように眉間にしわを寄せ、じっとにらんでいるので、信田は顔を真っ青になった。

「何でしょう……」

 信田は恐怖で、声を出すのがやっとだった。

「お前が飼育委員だな!」

「そうです……」

「あのな、飼育委員の仕事あるだろう」
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