六年一組、本紛失事件
「はい……」

 信田は首を縦に動かすしかなかった。

「馬屋、アイドルの話して、どうすんだ! 肝心なことを早く話せよ!」

 高蔵は馬屋の頬を平手で張りとばした。

「はい、リーダーすいません」

「肝心なことって?」

 信田は不安を隠せず、体が小刻みに震えている。

「理々の本だよ」

 馬屋は頬を押さえながら、信田に聞いた。

「本、あああのこと……」

 信田は怯えている。うまく話せないようだ。

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