六年一組、本紛失事件
田脳だった。のっそりと歩くので、物音がしなかったのだ。それに高基教諭は藤美教諭のことで頭がいっぱいで、前を見ているようで、見ていなかったのだ。
「な、何か用ですか?」
田脳は高基教諭に黙って見られていたので、気になったのだ。
「今、から音楽室に行け!」
高坂教諭は冷静さを失っていた。怒鳴ることしかできなかった。
「な、何で、ですか?」
田脳は怯えたように体をこわばらせた。
「何でだ? いいから行け!」
「り、理由がないと行けません」
「理由? いつも音楽室にいるじゃないか!」
「な、何か用ですか?」
田脳は高基教諭に黙って見られていたので、気になったのだ。
「今、から音楽室に行け!」
高坂教諭は冷静さを失っていた。怒鳴ることしかできなかった。
「な、何で、ですか?」
田脳は怯えたように体をこわばらせた。
「何でだ? いいから行け!」
「り、理由がないと行けません」
「理由? いつも音楽室にいるじゃないか!」