六年一組、本紛失事件
25 告れ!
 六号棟にきた。

 エレベーターで五階まで上がった。
 
「今度は誰だ?」

 高蔵はまた同じことを馬屋に聞く。

「岸本の家です」

「何だよ、岸本友香かよ。面白くないな」

 高蔵だけではない。みんな飽き飽きしているのだ。

 しばらく、四人は沈黙した。

「ツトム!」

 急に高蔵が大きな声で呼んだので、笈滝はびっくりしたかのように、体を硬直した。

「何でしょう?」

 また、高蔵の強引な命令があるかもしれないので、笈滝は身構えていた。
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