六年一組、本紛失事件
 四人はあまりにも、不思議な光景を目の当たりにして、唖然とするしかなかった。

「気を取り直して次、行こう!」

 高蔵は言った。

 四人はゾロゾロと階段を下りて、三階まできた。

『話多』と書かれた表札を見て、高蔵は表情を曇らせた。

「何だよ、話多かよ。今度こそ、告れ!」

 高蔵の退屈しのぎのようだ。

 笈滝は口をへの字にして、黙ったままである。

「お前がチャイム押せ!」

 笈滝は子吉沢の方を見て、助けてくれるのを期待したが、高蔵に顔面に張り手をもらい断れ切れずにチャイムを押した。
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