六年一組、本紛失事件
「ありがとうございます!」

 荒屋は再び言った。

「駄目だ。言葉では伝わらないよ。物をよこさないと駄目だ。荒屋は鉄道が好きだったよな?」

 馬屋は無理な注文を荒屋に押しつけた。

「はい」

「じゃ、何か格好いい物はないのか?」

「えーと、何が……」

「聞こえないよ!」

「何がいいですか?」

「そう言われても困るな! そうだ、鉄道模型持ってるか?」

「持っています……」

「Nゲージか?」
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