六年一組、本紛失事件
「藤美先生!」

 藤美教諭は高基教諭に呼ばれたので、近寄った。

「高基先生、ありがとうございます」

 藤美教諭は高基教諭の耳元で言った。

「いえ、そんな……でも、その口調からすると、教頭からうまく逃げることができたのですね」

「はい」

「そりゃ、良かった」

「高基先生、でも、このままだと教頭は危険ですよ。だから、そのことについて、今晩、ゆっくり話ませんか?」

「いいですね。喜んで」

 高基教諭と藤美教諭は、はたから見ても良い雰囲気であった。
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