六年一組、本紛失事件
 子吉沢はこれ以上言っても通じないと判断した。

「わかりました」

 子吉沢は後退りした。

「よう! よう! よう!」

 子吉沢の後方から声がした。子吉沢は声の方向に顔を向けた。

「あっ! いた」

 子吉沢の目の前には古田がいた。

「いたって。俺を見て痛みを感じるのか?」

「その痛じゃなくて……」

「じゃあ、まな板か俺は?」

「さっぱり、言ってることがわからんよ」

「かなり、面白いこと言ってんのにわからないのか?」
< 222 / 302 >

この作品をシェア

pagetop