六年一組、本紛失事件
「はあ、急に言われても何のことだか理解できません」

 波教頭はみるみるうちに顔が真っ赤になった。

「藤美先生とはどういう関係だね?」

「はあ、どういう関係と言われましても、個人的なことを話さなければならないでしょうか?」

「当たり前だ! 話さなければならない!」

 波教頭は言って、口をとがらした。

「プライバシーですよ。たとえ教頭といえども、話すにはそれなり理由が必要ですが……」

「そんなくだらんことを言っていないで、どういうことか話しなさい!」

「話したくはないのですが……」

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