六年一組、本紛失事件
「いや、別に……あっ、そうだ。本、知らない?」

「本?」

「理々君の本」

「ああ。まだ、見つからないの?」

「うん」

「あの日のこと覚えている?」

「あんまり、覚えてなけど……」

「音楽室に最後に入ってきた人って誰だか知っている?」

 いつも間にか子吉沢と有紀の立場は逆転していた。有紀が探偵のようにも見えてきたのだ。

「さあ?」

 子吉沢はまったく覚えいなかったので、首を横に傾けた。
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