六年一組、本紛失事件

「高蔵君と笈滝君よ」

「ええ！」

　子吉沢は意外な名前を聞いて驚くほど大きな声を出してしまった。

「あの二人あやしいでしょ？」

「そう言われれば……」

　今まで、高蔵も笈滝も探偵気取りだったので、犯人からは除外していたが、そう言われてみればあやしいのだ。

　なぜ、高蔵が探偵のまねごとをしていたのかが不思議だった。興味本位か犯人かのどちらかでしかない。今はどちらとも言えないが、犯人である可能性は五十パーセントだ。疑って詮索する必要はあるように気がした。犯人なら指示を出しているのが高蔵で実行しているのが笈滝であろう。

「また、考えこんで！」

「あっ、大丈夫だよ」