六年一組、本紛失事件
「お願い……」

 藤美教諭のあまい口調に高基教諭は体の力が抜けた。

「何とかしましょう」

 いい対処法があるわけではない。高基教諭は藤美教諭の前でいい格好をするための返事をしただけだった。

「うれしい」

 藤美教諭は高基教諭に抱きついてきたので、抱きしめた。胸のふくらみが当たり、さらにきつく抱きしめるのであった。

 高基教諭の興奮は我慢の限界であった。

「コラッ! そこで何をしている!」

 波教頭が入ってきていたのは気がつかなかった。

 高基教諭は一気に顔が真っ青になった。藤美教諭を押すようにして離れた。
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