六年一組、本紛失事件
「犯人のお出ましだ!」

 高基教諭はじっとアリスをにらんだ。

「先生、ナニ?」

 まだ状況がつかめないアリスだった。

「お前が盗んだのか!」

 高基教諭のしつこい攻撃が始まった。

「だから、何を」

 あれほど、目上の人に対しての言葉使いを注意されたのに、もう忘れていた。いや、覚えていても高基教諭だけには敬語は一生使わないだろう。

「本だ」

「本って理々君の? まさか、私、小説とか読まないし、まあ、漫画は読むけど……」

 アリスは高基教諭が怒っていることに気がついていない。
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