六年一組、本紛失事件
「やりやがったな!」

 子吉沢は仰向けに倒れている高蔵のお腹にどっしりと腰を下ろした。身動きはできない状態だ。

 子吉沢は上から左右のパンチを顔面にめがけて出す。

 高蔵も防御するために顔面辺りを腕で覆った。

 優勢は子吉沢だった。パンチを顔めがけてどんどん出すので、高蔵の強気な発言も陰を潜めた。

「どうした?」

 子吉沢は弱気な高蔵を責めた。パンチはそれでも繰り出された。

 パシッ、パシッと、顔を手で押さえて防御している高蔵に子吉沢は遠慮なくパンチの当たっている音だ。
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