六年一組、本紛失事件
37 田脳の取調べ
 職員室も騒然としていた。

校長は高基教諭から報告を受け、すぐに警察を呼んだのである。

 制服を着た警官が先に駆けつけ、しばらくして、スーツを着た刑事がきた。

 第一発見者の田脳は刑事に呼び出された。刑事は二人いた。

「どうも、捜査一課の木本と言います」

 年齢四十五歳前後で紺のスーツは薄汚れていて、ベテランといった雰囲気をかもし出している。横には三十歳前後の刑事がノートを開き、メモを取ろうとしていた。

「た、田脳です……」

 ただでさえ、人前では緊張する田脳は刑事のするどい目つきに萎縮してしまったのだ。

「第一発見者ですね?」

「そ、そうです……」
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