六年一組、本紛失事件
「くるに決まっている!」

 須葉留は断言した。

「やだ、あたし、テレビに映るのかな、担任のこと聞かれたら何て言おうかな」

 慶子は事件ではなく、テレビに映ることを心配している。

「やだ、高基先生と田脳がグルで殺人犯なんて、もう、大人は信じられない……」

 ひとみこそ信じられる人間ではないのに、他人ことはさておき、自分勝手な見本である。

「君たち、うるさいよ! それにまだ、犯人が捕まったわけではないので、断定するのはどうかな」

 噂話に盛り上がる生徒たちに水をさしたのは理々だった。

「理々、お前はあいつらの味方か?」

 須葉留が言った。
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