六年一組、本紛失事件
「何よ、アリスばっか!」

 慶子である。

「ひがむなよ!」

 古田は言った。

「ひがんでないよ!」

 慶子はじっと古田をにらんだ。

「その顔じゃ、ひがんでんだろう!」

「あんたこそ、つまらないことばり言って、笑えないから言うのやめてよ」

「笑えないのはセンスのない証拠で~す!」

 古田はバカにしたように、ベロを出した。

「汚い」

 ひとみはごみでも見るような表情をした。

「何だよ、お前まで!」
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