六年一組、本紛失事件
「何で、映画に出るからって転校しなきゃいけないの?」

 華子の疑問はもっともである。

「うん」

 アリスは涙を止めるのに必死だった。

「そんなの決まっているだろう!」

 理々であった。いつも冷静なのが気に食わないが、当たっているので、突っこみにくいのだ。

「決まっている?」

 華子は理々を見て固まった。

「これから売り出そうとしているタレントの行っている学校で殺人事件が起これば、イメージが悪くなるから、転校するのさ」

 理々は言いはなった。冷静で他人事のようだ。
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