六年一組、本紛失事件
42 真実
 事件から一ヶ月が経過した。

 高基教諭は無断で学校を休み、いつの間にか教師を辞職していた。

 新しい教師も小川友子と言って、おばさんだった。音楽教師も笹川という、アゴヒゲを生やした普通の教師が赴任した。

 前と変わらない生活が戻ってきたのだ。

 心のどこかで殺人事件のことが生徒全員に残っているはずだが、表面的にはわからない。

 元番長だった高蔵もおとなしくなって、影が薄い存在になった。一日にしゃべることもないからだ。

 変わって、須葉留と古田と木村がいつも大きな声を出し、小川教諭にいつも、注意されている。

 子吉沢は理々の本を見つけられなかった。理々は必ず見つけてほしいと毎日のように言った。理由は兄も形見なので、紛失したでは済まされないと言った。
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