六年一組、本紛失事件
 三人は静かにジャンケンをした。いつやったからわからなかった。一発で勝負が決まったのだろう。

「私です……」

 はるかは恥ずかしそうに下を向いたまま言った。

「男子でやりたい人?」

 と、美紀子は言ったが男子に反応はなかった。男子に花の栽培に興味のある者など少ないのだ。だから、誰もやりたがらなくて当然である。

「誰かいないのか?」

 たまらず、高基教諭は言った。

「誰かいませんか? いないのなら私が推薦しますよ」

 美紀子が再度言うが反応はなかった。

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