六年一組、本紛失事件
「牧君がいいと思います」

 と、高蔵が指名した。

「ええっ! やだよ」

 牧一朗は露骨に嫌な顔をした。

 基本的に運動が好きな牧は校庭を走ることは好きであるが、校内の植物はまったく興味がないのだ。しかし、高蔵に言われては断りにくいのである。

「牧君を推薦します」

 美紀子は指名した。

「はい……」

 牧は断ることもなく、了解した。やりたくはないのであろう。机につっぷしたままじっとしている。



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