六年一組、本紛失事件
「学級委員の権限なので、無理です」

 と、小森も調子にのって学級委員らしくなってきた。

 そこまで言われると、華子も何も言えなくなった。

「飼育委員やりたい男子はいないのですか? 先生に注意される前に誰か自主的に手をあげてください」

 美紀子はもう立派である。嫌がっていたのが嘘のように見えてきた。教師のしもべのようだ。

「僕がやります」

 と、新田明人が言った。まんが大好きでインドア派の新田が自主的に言うはずがない。

「あっ、僕も……」

 続いて、荒屋貴紀が言った。鉄道大好きで、電車の写真をシールにして、筆箱に貼り付けてある。
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