六年一組、本紛失事件
「さっぱり、言っていることがわかんないよ! それに男って何よ。」

「だから,謝っているんだよ!」

「謝ればいいの?」

「そうだよ」

「うっそ! じゃ、言わせてもらうけど、馬屋君って、ゴキブリみたいで、キモイ! 近寄らないでよ。あっ、ごめんね」

 と、ひとみは言って、舌を出した。

「許さないぞ!」

 馬屋は顔を真っ赤にした。

「あれ? 私、謝ったでしょ!」

「全然。誠意が感じられないぞ!」

「ほら! 謝ったって許さないじゃない! それと同じことよ」
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