六年一組、本紛失事件
「もう、こうなっては収拾がつかないから、今日は男子で掃除するから、女子は帰っていいよ」

「ええ? そう、そうよね。さすが、高蔵君はものわかりがいいね」

「そうだろう」

「いいけど……あっ、美紀ちゃんどうする?」

 ひとみに聞かれて、

「それでいいです」

 と、美紀子は泣きやんでいた。

「よし! それじゃ、女子の人は掃除しなくてもいいから、帰って!」

 高蔵が言うと女子たちはランドセルを持ち出して帰って行った。

 教室には女子がいなかった。高蔵を囲み男子生徒だけになった。
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