六年一組、本紛失事件
4 ラブレター
 新学期も始まって二日目である。いつものようにひとみはランドセルを背負って登校してきた。もちろん仲良しの慶子と美紀子も一緒である。

 生徒たちが下駄箱に向かう流れの中に田脳が突っ立っていた。

「あ、あの、ち、ちょっと話があります……」

 田脳は緊張して口が回っていない。シドロモドロだ。

「何でしょう?」

 ひとみは田脳を見ないで言った。

「こ、ここでは何ですから、ち、ちょっときてもらえませんか?」

「ここじゃ駄目なんですか?」

 田脳は黙りこんだ。


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