六年一組、本紛失事件
「きゃっ! あの変態おじさんと付き合ってあげれば!」

 と、慶子は冷やかした。

「やだ!」

 と、ひとみは本当に嫌な顔をした。

「ひとみ、どうするの?」

 鈍い美紀子はひとみの気持ちが、わからないかのように聞き返した。

「キモイよ」

 と、ひとみの一言で美紀子も慶子も理解したようだ。

「何かあったの?」

 高蔵が話しに割りこんできた。

「別に」

 ひとみは言った。
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