六年一組、本紛失事件
「告られたのよ」

 慶子は高蔵に言った。

「またか? で、今度はどんな男だ中学生? 高校生? 大学生? それじゃ、おじさんか?」

「そう、おじさん」

 慶子は言った。

「さすがだな。飛騨さんはやっぱモテるな」

 高蔵は勘違いしていた。

「私じゃなくて、ひとみよ」

「ええ!」

 高蔵は口を大きく開けたままだった。

「嫌だ。そんなこと人に言わないでよ」

 ひとみは、かなり憤慨しているようだ。
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