六年一組、本紛失事件
「質問か?」

「本ってどんな本がいいんですか?」

「漫画や雑誌は駄目だぞ。図書室にない小説がいいな」

「小説なんか読まないんで、ありません」

 本を読まない代表のような意見を高蔵は言ったので、無意識に首を縦に振る生徒たちが続出した。

「そういうやつは、期間を一ヶ月あげるぞ。五月のゴールデンウィークが終わるころまでには小説を読んで、その一冊でいいから持ってこい!」

 高基教諭は首を縦に振った生徒をにらみつけた。

「本は私か子吉沢君に渡してください。そして、管理します」


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