六年一組、本紛失事件
 生徒たちはひとみの提案にうんざりだった。高基教諭に高評価を得たのでひとみ満足そうに微笑んでいた。

「先生!」

 と、言ったのは理々だった。

「何だ?」

「僕の読む本は難しくて、こいつらには理解できないし、読むことすら困難だと思います。ですから、大事な本を持ってきても、誰も読まないと思うので、持ってこなくてもいいですか?」

「駄目だ!」

「何ですか?」

「理々だけ特別扱いはしないぞ」

「本がなくなったら誰が責任を取るのですか?」
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