六年一組、本紛失事件
「おじさんからラブレターもらったみたいです。それで、かなり落ちこんでいます」

 美紀子も他人事なので、しゃべりたくてしかたないようだ。

「おじさん? 道でか?」

 高基教諭は素っ頓狂な声を上げた。

「用務員の田脳のおじさんです」

「ええ? それは本当か?」

 名前まで言われても、信じられないようで、高基教諭は黙りこんでいた。

「本当です。ひとみちゃん先生にラブレターを渡しなよ」

 ひとみは黙っていたが、机の中から手紙を取り出し、高基教諭にラブレターを渡した。


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