六年一組、本紛失事件
「自業自得だろ! やってはいけないことをやったんだぞ!」

「な、何でも言うこと利きます。か、勘弁して下さい」

 田脳はその場で頭を下げた。

「そうか、まあ、反省をしていることだし、教頭には内緒にしておこう。ただし、渋革には近づくなよ。それに他の女子児童にもだ!」

「は、はあ、そ、それはもちろんです」

 田脳は安堵し、こわばっていた表情がゆるんだ。軽く笑みさえ浮かべていた。

「お前は大人か?」

 高基教諭は田脳の笑みを見ていたら、急にいじめたくなった。

「は、はい……」

 田脳に笑顔は消え、真顔になった。
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