六年一組、本紛失事件
6 音楽室
 いつものように、ひとみは美紀子と慶子と一緒に登校してきた。

見る感じひとみは田脳のラブレター事件を引きずってないようだ。普通に会話して時折笑顔さえ浮かべていた。

 六年一組の教室が段々と埋まっていく。

「渋革さんこれ」

 理々はぶっきらぼうに本をひとみに突き出した。

ひとみは本をじっと眺めた。

「これなの。理々君が言っていた本って?」

「そうだ」

「どすとえふすき? 罪と罰?」

「何か、ぎこちない読み方だな」

「外国人なんだ。どこの国の人?」
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