六年一組、本紛失事件
「ロシア」

「へえ。私が初めに読むけどいい?」

「いいけど、君には難しすぎるな」

「読みます!」

 ひとみは理々の上から目線の言葉が気にいらなくて、つい読破を宣言してしまったのだ。

 一時間目の授業が始まる一分前であった。

「おはよ~ん!」

 クラスの最後にきたのはアリスだった。子吉沢はアリスの前に行った。

「本、持ってきた?」

「ん? 本、ああ、持ってきてないよ。だって私、小説なんか読まないから、オススメ本なんてないよ」

「実はぼくも小説なんか、読まないよ」
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