六年一組、本紛失事件
「徳島県!」

 アリスは日頃から嫌なことがあっても、顔には出すなとマネージャーから言われていたので、顔は笑顔を作っていた。

 子吉沢は徳島など行ったことがないし、興味もないので、会話に参加できない。

「起立!」

 と、学級委員の小林の声が響いた。高基教諭がきたのだ。子吉沢とアリスの話もここで中断だ。せっかくのチャンスであったのに、オタク三人に負けた感じだった。

 朝のあいさつが終わると、高基教諭は出席を確認した。

 全員、出席だった。

「渋革、本の集まりはどうだ?」

 と、高基教諭は尋ねた。

「あんまり、集まっていません」
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