あなたの指先で酔わせて。
グラスを選んで、冷凍庫で冷やす。
ジンと、ライムと、粉糖を並べる。
シェーカーにメジャーで図った材料を移す。
バースプーンで撹拌させる。
味をみて、一旦、材料を馴染ませる。
…このバーテンダーさん。
指先がとても綺麗。
動きに全然無駄がない……。
話半分で、カウンターに送っていた視線に、ひとりトークを続けていたウェーブ男が気づいた。
「バーテンダー、珍しい?
っていうか、秋月さんあんまりバーとか来ない人?」
「…んー…。行くときは行きますけど」
「けど?」
「いや、あのバーテンダーさん、綺麗だなって。」
「……綺麗?」
「あ、えっと、動きが。
動きが綺麗だなって。そう思ってじっと見ちゃってて」
「なるほどね」