あなたの指先で酔わせて。

グラスを選んで、冷凍庫で冷やす。

ジンと、ライムと、粉糖を並べる。

シェーカーにメジャーで図った材料を移す。

バースプーンで撹拌させる。

味をみて、一旦、材料を馴染ませる。



…このバーテンダーさん。

指先がとても綺麗。


動きに全然無駄がない……。





話半分で、カウンターに送っていた視線に、ひとりトークを続けていたウェーブ男が気づいた。


「バーテンダー、珍しい?
 っていうか、秋月さんあんまりバーとか来ない人?」


「…んー…。行くときは行きますけど」


「けど?」


「いや、あのバーテンダーさん、綺麗だなって。」


「……綺麗?」


「あ、えっと、動きが。
 動きが綺麗だなって。そう思ってじっと見ちゃってて」


「なるほどね」


< 6 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop