あなたの指先で酔わせて。
ウェーブ男とバーテンダーが会話している隙に、ギムレットを手に取った。
「…おいしい」
ほんのり甘くてキリッとした舌触り。
今まで飲んできたどんなギムレットより、一番美味しかった。
「とっても、美味しいです」
私の漏らした一言で、会話を中断していたバーテンダーを、もう一度見つめてそう告げた。
「ありがとうございます」
微笑みながら、やっぱりそう返した男。
それが、”コバ”こと
小早川 聖 との初対面だった。