彼と私の関係〜もう1つの物語〜
だけど、私はナイフで切り裂かれたみたいな痛みを胸に感じて……
「う〜ん。俺はアドバイスできるような結婚生活じゃないから」
彼は困った顔をしながら真央に目を向けていたけど
「ど、どうしてですか?」
彼の台詞が引っかかった私は彼の目を見てしまった。
――儚く消えそうな雰囲気を出していた時と同じ目を……
「……真央、奈央」
上原さんに声を掛けられ、私達は顔を向けた。
「拓海。この2人なら大丈夫だと思うよ?」
「……そうかもしれないな」
上原さんの問いかけに、彼は一度目を瞑ると頷いた。
今までの明るい雰囲気が払拭された2人の顔に私と真央は顔を見合わせる。
――あの時と関係があるの?