彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「拓海、今別居と同じ状況なんだ」
上原さんの言葉に私は目を見開いて彼を見つめた。
彼は上原さんの顔をチラッと見てから「俺が話すよ」と後を引き継いだ。
「俺より5歳年上なんだ。結婚して1年ぐらいした時妊娠して、流産したんだ。それから体調を崩してて、ずっと実家で過ごしてる」
彼の思わぬ過去を聞かされ、私は持っていた箸をテーブルに置いた。
これから彼の口から語られるだろう話をちゃんと聞かなければと本能が告げたから……
「2年前に子宮癌が見つかって手術したんだ。子供が産めなくなって、精神的に不安定になってて。
時々調子のいい時は向こうの実家から連絡があって会いに行ってる」