彼と私の関係〜もう1つの物語〜



忙しさのあまりすっかり抜け落ちていた事実に愕然とする。



でも……



「どうして私の誕生日を……」



――彼は知っているのだろう?



すると、彼はプッと吹き出して



「アドレスにある数字って誕生日だろ?」


「あっ!」



彼の種明かしに私は赤面するしかなかった。



少しだけ……


――ほんの少しだけ期待したから……



食後には誕生日ケーキがテーブルに届く。


花束が添えられていて。


彼は受け取ると、私に差し出しながら



「誕生日おめでとう」


「……っ」



そう言って笑う彼を見たまま涙が零れそうになる。



こんなに嬉しいと思えた誕生日は生涯で初めてだったから。





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