彼と私の関係〜もう1つの物語〜



震える手が唯一繋がっていた彼の指を握り続ける事が出来なくて。


重力に逆らえず、下へ下へ滑り落ちて行く。



それは私の彼への想いと同じように感じて。


俯く私の目から、さっきと違う苦しい涙が頬を伝う。



――伝えてしまった……



決して言ってはいけない想いを。



想いを口にした事で、頭が正常な働きを始めた。


静寂が私の心を蝕んでいく。



なぜ、伝えてしまったんだろう?


なぜ、勘違いをしたと思い込んでしまったんだろう?



彼を……



――困らせるだけなのに……






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