彼と私の関係〜もう1つの物語〜
「気を付けて」
聞こえる彼の声はいつもの穏やかな声で。
さっきのキスが夢みたいに感じる。
だけど唇は彼の感触を覚えている。
どうしよう……?
まだ……
――彼と離れたくない。
もう少しだけ……
誕生日の今日だけ……
あと2時間だけ……
「時間を……貰えませんか?」
――あと2時間、一緒に過ごしてもらえませんか?
「……いいよ」
どうしてちゃんと伝えていないのに、彼には伝わるのだろうか?
彼は近くのコインパーキングへと向かい車を止める。
ドアをロックして車の前方へ歩いてきたのはほぼ同時。