彼と私の関係〜もう1つの物語〜



「気を付けて」



聞こえる彼の声はいつもの穏やかな声で。


さっきのキスが夢みたいに感じる。



だけど唇は彼の感触を覚えている。



どうしよう……?


まだ……



――彼と離れたくない。



もう少しだけ……



誕生日の今日だけ……



あと2時間だけ……



「時間を……貰えませんか?」



――あと2時間、一緒に過ごしてもらえませんか?





「……いいよ」



どうしてちゃんと伝えていないのに、彼には伝わるのだろうか?



彼は近くのコインパーキングへと向かい車を止める。


ドアをロックして車の前方へ歩いてきたのはほぼ同時。





< 156 / 393 >

この作品をシェア

pagetop