彼と私の関係〜もう1つの物語〜
◆4:Lose…喪失…◆
至福
拓海が私を抱いてから1年。
相変わらず仕事は順調に営業成績を伸ばし、周りから藤井部長の片腕だと言われるようにまでなっていた。
私も拓海もお互い素顔を隠した。
――隠し通していた。
絶対にバレてはいけない。
――暗黙の了解だった。
彼と少しでも一緒に居たければ、社内での立場が大切で。
彼には帰る家があるから。
それが例え迎える人が居なくても。
それでも時々、彼は私の家の住人となる。
この1年で彼の私物が殺風景な部屋を占領し始めた。
スーツ、下着、私服、歯ブラシ。
そしてお揃いで買った数種類の食器。