彼と私の関係〜もう1つの物語〜



溜め息を付くと、私は話し始めた。


入社する前、電車の中で拓海を見かけた事。


気になって仕方がなかった時、就職した会社で出会った事。



話し終えて拓海へ視線を戻した時、彼は目を瞑っていて。



「最初の出会いの時……」



静かに語り始めた。





――拓海は子供が欲しかった。



結婚して1年が過ぎ、奥さんが妊娠した時は手放しで喜んだらしい。


それが9週目に入ったところで流産となった。


産婦人科に付き添い、超音波で心音を確認して画像でまだ形をなさないこれから産まれてくる子に想いを馳せていた時。





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