彼と私の関係〜もう1つの物語〜



面接以来になる会社のビルの前に立っていた。


兄はフリーターを選んだ理由を知っているから、正社員として働く私がやりたい事を見つけたと思っている。


でもこの会社での仕事が果たしてやりたい事になるのだろうか?



――求人誌に載っていた一言に魅かれただけなのに……



今更ながら疑問に思いつつ、面接の時に来た時同様、エレベータの前に立った。


すでに『上』の矢印ボタンが点灯していたので、他に待っている人達の中に紛れる。


くたびれたスーツ姿のおじさんもいれば、下ろしたてのスーツを着て緊張した面持ちの人もいる。





< 19 / 393 >

この作品をシェア

pagetop