彼と私の関係〜もう1つの物語〜
何かバレるようなことを言った?
嘘だと見破られるような………
子供の事が分かってから考えたシナリオ。
前回、拓海の出張に併せた絶対にバレない嘘。
「分からない……分からないよ……」
お腹に手を当てながら、さっきまで堪えていた涙が頬を伝う。
拓海から離れなければ……
これ以上彼の優しさに縋ってはいけないから。
これ以上彼を巻き込んではいけないから。
これ以上彼を……
苦しめたくないから。
なのに今の私に兄の部屋まで行く力がなくて。
どうすることもできない……
ごめん……
ごめんなさい……
降り出した雨が、窓を力強く叩いていた。